この話、実話ではありません。なんとなく書いてみました。
でも、多少実話を織り交ぜているかもしれません。笑
写真の花はダリアの「恋金魚」。
高校生の時の私は、気の多い性格だったせいか、二人同時に男性を好きになったことがある。その二人は兄弟だった。
「兄」はノリの軽い男性で、「弟」は真面目だった。私はなぜ私が正反対の、しかも兄弟を好きになったのかはわからない。どちらもどこかに魅力を感じたのだろう。
奥手だった私は、どちらにも話しかけることができず、でも何もしないでいることもできなかったので、その兄弟に手紙を書いた記憶がある。内容はあまり覚えていない。
でも、奥手なくせに意外と大胆な私は「好きです」の一言くらい書いたような気がする。
「弟」は反応がなかった。「兄」の方は家に誘ってきた。この「兄」は軽いと言っても、話が面白いだけで、「悪いノリ」があったわけではないので、私は心配することもなく、家に行った。
部屋には恋愛漫画の原本がたくさん飾られていた。
「はっ」私は反応した。その恋愛漫画は私もみたことあるが、その少女の名前を初めて知った。
私と同じ名前だった。
彼は私に「〇〇ちゃん」「〇〇ちゃん」よくそう話しかけてくれていたのは、もしかして……
私はありもしない期待で、ドキドキした。
彼は優しい言葉で、黙る私にたくさん話をしてくれた。
彼はそのあと駅まで見送ってくれた。
その後彼は私の友達と付き合った。
私の予想は外れだったわけだ。
「弟」は相変わらず反応もなく、私の気持ちも薄くなっていった。
「兄」は高校3年生。私が2年生の時、彼は大学へ進学せずロサンゼルスに遊学すると聞いたのだ。
でもさほどなぜだかショックも受けず、成田空港へ見送ることしか考えなかった。
「兄」の同級生の友達が車で友達を乗せて行くと聞きつけたので、私も同乗させてもらうことにした。
当日、「兄」の友達は180㎞というとんでもないスピードで高速を飛ばして空港へ向かった。生きててよかった。
成田空港へ着いた私は、彼に一応挨拶をいうと、彼はロサンゼルスの住所の書いてある紙を私に渡した。そして握手を求めてきた。
私は一人、ぼーっとしていると、彼は私のそばに寄ってきて突然、あみんの「待つわ」を口ずさんできた。
「私待〜つ〜わ〜」
私はそんなに悲しくなかった。泣くことはなかった。
果たして私は待つのだろうか。
彼のあの歌の意味はなんだったのだろうか。待っていて欲しいの?
な訳ないよね。私はそう思うと、なぜか高校のカバンを持って手を振りながらゲートへ入って行く彼を、冷めた顔をして見送っていた。
そのあと、私は彼に手紙を送ることもなく、住所の書かれた紙もどこかへいってしまった。
これが私の初恋。