暴力を振るった男はどうなったのか。
私は気になった。
目はうっ血し、あごにはこぶができてしまった。
大事な顔にそんなことをされても、なぜかその男が頭から離れなかった。
例の刑事さんから電話がかかってきた。
「警視庁刑事課の佐藤です。その後いかがですか?」
「その節はありがとうございました。あれから引っ越したんです。」
「そうですか!それが一番いいです。よかったです。安心しました。」
「あの、あの男はあれからどうしたんでしょうか……?」
刑事さんはあることを教えてくれた。それは、
あの男は傭兵をやっているのだか、やっていたのだかで、以前は某大手広告代理店で働いていたそうだ。そこでは、海外への転勤が多く、海外へ行くたびに傭兵へ志願し、大金を稼いでいたそうだ。
今は実家で暮らしているらしい。
なんだか私は安心した。
あの人は一体何だったんだろうか。なぜ私を色々なところへ連れて行き、裏の世界を見せたのか。
そんなことさえしなければ、いい男だったのに……。
(終)
