フィクションかもノンフィクションかもしれない話。(10)

彼にやっと電話が繋がった。

クレジットカードの件を話した。彼はイラついた様子で、闇金融の会社と「私のせい」にしてきた。確かに私は一度、カードのキャッシングの限度額30万円を貸して欲しいと言う申し出を断った記憶があった。

私のせい?!当たり前のことをしただけだ。

私は、彼が謝り、お金を返してくれることを期待し、話をしたかったのだ。

それだったら、私は、理由によっては代わりに80万円を彼のために返そうとしたのだ。それが、私のせいだなんて。

「とんでもない!どうして私のせいなの?!」私は思わず声を荒げた。

「社長がお金を持って逃げたから、お金が手に入らない」その一点張り。

なんだか、上司の奥さんが病気だという話も、すべて嘘のように思えてきた。

「本当に社長は逃げたの?上司の奥さんは本当に病気なの?」

彼は怒鳴り出した。「そうだって言ってるだろ!何か?俺が嘘でも言ってるとでも思っているのかあ?」

「でも人のクレジットカードを盗んで80万円も使っていたなんて、犯罪です!」私も思わず頭にきて怒鳴ってしまった。

彼の話し振りは、ほとんどヤ●ザだった。

私は急に背筋が凍った。私は彼となんとか和解がしたかっただけなのだ。

でもやっぱり警察に届け出ればよかった。

「わかった。これから金もって家に行くから待ってろ」

彼は人が変わった。自分がしたことを棚にあげ、怒鳴り込んでくる勢いだった。

なぜ私が?なぜ私がこんな怖い思いをしなければならないのだろう。

しばらくすると、彼はインターホンも押さずにドアを叩いて来た。

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