彼にやっと電話が繋がった。
クレジットカードの件を話した。彼はイラついた様子で、闇金融の会社と「私のせい」にしてきた。確かに私は一度、カードのキャッシングの限度額30万円を貸して欲しいと言う申し出を断った記憶があった。
私のせい?!当たり前のことをしただけだ。
私は、彼が謝り、お金を返してくれることを期待し、話をしたかったのだ。
それだったら、私は、理由によっては代わりに80万円を彼のために返そうとしたのだ。それが、私のせいだなんて。
「とんでもない!どうして私のせいなの?!」私は思わず声を荒げた。
「社長がお金を持って逃げたから、お金が手に入らない」その一点張り。
なんだか、上司の奥さんが病気だという話も、すべて嘘のように思えてきた。
「本当に社長は逃げたの?上司の奥さんは本当に病気なの?」
彼は怒鳴り出した。「そうだって言ってるだろ!何か?俺が嘘でも言ってるとでも思っているのかあ?」
「でも人のクレジットカードを盗んで80万円も使っていたなんて、犯罪です!」私も思わず頭にきて怒鳴ってしまった。
彼の話し振りは、ほとんどヤ●ザだった。
私は急に背筋が凍った。私は彼となんとか和解がしたかっただけなのだ。
でもやっぱり警察に届け出ればよかった。
「わかった。これから金もって家に行くから待ってろ」
彼は人が変わった。自分がしたことを棚にあげ、怒鳴り込んでくる勢いだった。
なぜ私が?なぜ私がこんな怖い思いをしなければならないのだろう。
しばらくすると、彼はインターホンも押さずにドアを叩いて来た。
