フィクションかもノンフィクションかもしれない話。(4)

女の子を車から降ろし、恵比寿のマンションへ戻った。

「降りて」彼はそう言うと、マンションの中に入るよう私を促した。

私に恐怖心はなかった。とにかくマンションの中がどんな様子なのか気になった。

中に入るとやはり恵比寿のマンション。当時で言ういわゆるデザイナーズマンションでおしゃれな部屋。そこには数人の女の子に一人の男性。男性は電話応対に追われていた。

彼はまた送迎へ向かった。

「すみません。あみちゃん、あと5分ほどで着きます。はい、はい。申し訳ございません。よろしくお願いしますーー」「はい、〇〇でございます……」ひっきりなしに電話はなっていた。

女の子を見ると、マニキュアをしている女の子、鏡を見ながら巻き髪にヘアスプレーをしている女の子。可愛い小柄の女の子に、色黒の女の子。

あ、この子は可愛いから人気ありそうだな。う〜ん、彼女は男ウケしないんじゃない?と私はつい失礼ながら女の子の品定めを始めてしまった。

そんなこと考えながら突っ立っていると、電話番をしていた男性が私を別室に案内してくれた。

「ここで待っていてください」

あ、そうよね、あまり中を見せてはいけないのか。そう思いながらもソファしかない部屋でポツンと取り残された。なんだか私は、性風俗の裏側に潜入取材に来たみたいだ。でもそれってあり得るのだろうか。

そんなことを考えながら、私は天井を見上げた。監視カメラだ。

私は監視されている。

それに気づいた私はやっと、来てはいけないところに来たんじゃないかと思いはじめた。

部屋が急に暗くなった。あたりは真っ暗。人の気配だけがする。

何されるのか?私は変な度胸が座っていた。じっと様子を窺っていた。

急に押し倒された。私は何も言わず抵抗し、押し返した。

人は去っていき、あかりがついた。私はまた監視カメラを見た。

なるほど、モニターに映らないために暗くしたのか。いったい誰だったのか。彼は戻ってきたようだった。やれやれ、帰れる。そう思いデリバリーヘルスの事務所を出た。

ところが事務所の前のエレベーターの前で、いつもの彼は落ち着かなさそうにしていた。

??

突然、彼は私に小さく折り畳まれた紙を渡してきた。

私は紙を広げるとそこには「不躾ですが、付き合ってください」と書かれてあった。

は?私、既婚者ですが??

「ここの店は、五反田にもあるんだ」

彼は、話を変えてきた。

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