最近ではない。コロナウイルスが、騒がれてきたころの話。新宿のある小さな飲み屋で、ある方と日本酒を飲んだ。その時聞こえてきたのが、サイモン&ガーファンクルのThe Sound of Silenceだった。飲む席で流れる音楽は、なぜか心に残る。これがまた、韻を踏んでいるいい曲であるからなおさらだ。
私は、気が大きくなっていった。話すつもりなどなかった私の過去まで話した。大した過去ではないけれど。今でもこの曲は頭を過ぎる。The Sound of Silence、「静寂」だろうか。曲のせいでもあるのか、日本酒がおいしかったからだろか、やけに進んだ。酔っぱらうかと思っていたら、意外としっかりしていた。飲んだ後の外の空気は気持ちよかった。世の中がこんなことになるなんて想像もしてなかった。
口が達者ではない私が、いつもより喋っていたように思う。いろんなことを想像した。この私に出来ることなら、なんだって挑戦したい。そんなことも考えていた。楽しい夜だった。それは、嵐の前の静寂だった。
