非日常の入口(ホスピタリティを求めて)

建築に少し興味がある。現在わたしが執筆していることとは全く違う。だが、実際足を運んで自分の目で見て、書いてみたい。その前に今回はホテルの話。以前わたしは贅沢なことに、ラグジュアリーホテルを泊まり回ったことがある。その頃のわたしは、少しの体力と、それなりのお金があった。いまでは、体力どころか、精神的に弱ってしまっている。自分で働いたお金も底をつき、いまでは泊まる楽しみもなくなった。ホテルの何が良かったのか。日常を忘れさせてくれる。宿泊客には「おもてなし」という普段では経験することのない、「扱い」がある。贅沢な趣味だったかもしれない。たいてい、ホテルに泊まることに、目的がある。私はただ、そのホテルのホスピタリティを知りたくて泊まっていた。エントランスからはじまり、エレベーターでの移動中、そしてラウンジ、レセプションと、非日常ははじまるのだ。エレベーターでの移動中でさえもだ。これはポーターとの会話ではない。外資系ホテルでは、当たり前だが外国人とすれ違う。エレベーターにのると、わたしは、エレベーターでの言葉のない会話を楽しむ。大人になった気分だった。英語の出来ないわたしは目で会話をしたつもりになるのだ。それが言葉を交わすより気分がいい。会社のエレベーターの中で、目を合わせて無言で微笑むことはまずない。何かしら関係があるなら別だが。

コメントをどうぞ